折り紙創作、1枚で作るか2枚で作るか

こんにちは。
おりがみ作家カミキィです。
今回は折り紙作品の創作についてのコラムです。

1枚折りこそ折り紙作品?

「折り鶴」は誰でも簡単に作れるイメージがあるので「折り紙って一枚で簡単に作れるものなんでしょ?」と思う人が多いのかもしれませんが、実は折り鶴みたいに「四角い紙をを少ない工程で折るだけ、子どもでも作れる難易度で立体にできて造形的にも美しく出来上がる作品」ってレアなのだと思います。

私が近所の遊び場で子どもたちに教えるために折り紙に興味を持ち始めてYouTubeや本などで現代の折り紙作品を知った頃は、「正方形の紙を折るだけで作れる」ものが正当な折り紙作品である、という印象でした。

ちなみに「正方形の紙を折るだけで作れる」作品は「不切正方形一枚折り」と呼ばれています。

折り紙の世界を知った頃や自分でオリジナル作品を作り始めた頃は、不切正方形一枚折りこそが正当な折り紙作品で「四角い紙を折るだけで完成」するものが純粋に「折り紙作品」といえるものなのかと思っていました。

仕上げにのりなど使わなくても、はさみでカットしなくても、ペンで何か描き足さなくても「折るだけ」で何かの形になるってすごい!
出来上がると達成感が半端ない。
設計を考え出した作家さんの創意工夫にひたすら感心。

でも不切正方形一枚折りでそれなりに見栄えのいい作品はちょっと折り工程が多かったり複雑なものが多いんです。
自分で折るにはちょっと難しいくらいでも楽しいのですが、子どもたちに教えたりするにはちょっとハードルが高い。

左:前川淳さん「ダビデの星」出典「折る幾何学-約60のちょっと変わった折り紙」
右:松野幸彦さん「サンタクロース」出典 月刊おりがみ208号


どちらもYouTubeで折り紙動画をチェックし始めた頃に知った作品です。
一枚で切り込みもなしでこんな造形が作れてしまうのにひたすら感動してました。

ちなみに複数のチャンネルがこれらの作品を紹介していましたが、作者などの詳細がなくネットで調べたところどちらも日本人作家の作品だとわかりました。
作者に許可を得て動画にしてるのかかなあ、と別の意味でも驚きました。。後にそれがYouTubeでは当たり前のことだと知るのですが。

簡単に作れるように複数枚使うのもあり!

そのうち自分でもオリジナル作品を作るようになったのですが、最初の頃は「不切正方形一枚折り」でなくてはならない、という固定観念がありました。
複数枚使ったりハサミ使ったら負け、みたいに思っていたんです。

でもYouTubeなどで作品の折り方を公開して反応をもらううちに、考えが変わっていきました。


私のチャンネルを観る方は「簡単に可愛い作品が作りたい」という女性が多いので
一枚で折ることにこだわるよりも「作りやすさ」を優先した方がたくさんの人に折り紙を楽しんでもらえるのではと思い、なるべく「簡単に作れる」作品にシフトしていったのです。

初心者さんやお子さんに作ってもらうのであれば複数枚使ってパーツを作って組み合わせる複合作品の方が楽しく作ってもらえるでしょう。
複合にするだけでなく場合によっては切り込みを入れると角を折り出すのが簡単になるのでハサミを使うのもあり、というふうに考えが変わっていきました。

1冊目の本「カミキィの季節のおりがみ」にも掲載されている「金太郎」は一枚で全身折れるけれどけっこう難しいのです。
その後頭と体を別に作るバージョン、一枚でできるけれどもっと簡単な工程のものも考案したのですが当時はまだその術がなかった。ごめんなさい!

折り紙の醍醐味である「一枚で作れる」楽しさも感じてもらいたいのでなるべくなら一枚で、たまに複合やハサミもという感じであれこれ考えています。

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